要約
本稿では、画像復元を目的としたシンプルでありながら効果的な畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャ「IRNeXt」を提案する。近年、長距離ピクセル間の相互作用を強力にモデル化できる点から、Transformerモデルが画像復元分野を主導している。本研究では、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の潜在能力に着目し、複数の画像復元タスクにおいて、計算負荷が低く抑えられながらも、Transformerモデルと同等あるいはそれ以上の性能を達成できることを示した。先進的な画像復元アルゴリズムが有する特性を再検討することで、復元モデルの性能向上に寄与するいくつかの重要な要因を発見した。これにより、低コストな畳み込み演算子に基づく新たな画像復元ネットワークの構築を促進した。包括的な実験により、IRNeXtが画像の霞消去、単一画像による合焦・運動ブレの復元、雨除け、雪除けといった多様な画像復元タスクにおいて、低計算複雑性で最先端の性能を達成することが実証された。