
要約
知識グラフ(KG)は、ノードとしてのエンティティと、それらの間の関係を型付きエッジとして持つ多関係グラフである。知識グラフ上の質問応答(KGQA)タスクの目的は、KG上で提示された自然言語クエリに答えを導出することである。マルチホップKGQAでは、正しい答えに到達するためにKGの複数のエッジにわたる推論が必要となる。しかし、多くのリンクが欠落しているため、KGはしばしば不完全であり、特にマルチホップKGQAにおいてはさらなる課題を引き起こす。近年のマルチホップKGQAに関する研究では、関連する外部テキストを活用してKGのスパース性を緩和しようとする試みがなされているが、このような外部情報は常に利用可能というわけではない。一方、別の研究アプローチとして、欠落リンクの予測を実行することでKGのスパース性を低減するためのKG埋め込み手法が提案されている。これらのKG埋め込み手法は、理論的に極めて関連性が高いものの、これまでマルチホップKGQAへの応用はほとんど検討されていなかった。本論文では、このギャップを埋め、EmbedKGQAを提案する。EmbedKGQAは、スパースなKG上でマルチホップKGQAを効果的に実行できる点で特に優れている。さらに、従来のマルチホップKGQA手法が課していた、事前に指定された近傍からの答え選択という制約を緩和する点でも優れている。複数のベンチマークデータセットにおける広範な実験を通じて、EmbedKGQAが他の最先端ベースラインに対して優れた性能を発揮することを実証した。