
要約
個別化治療効果(ITE)の推定は、反事実(counterfactual)の観測が不可能であり、偏りのあるデータから個々の潜在的結果を学習する必要があるため、困難な課題である。本研究では、生成対抗ネットワーク(GAN)フレームワークに基づくITE推定の新たな手法を提案する。本手法は、反事実分布における不確実性をGANを用いて反事実を学習しようとする試みを通じて捉える可能性に着目したものであり、Generative Adversarial Nets for inference of Individualized Treatment Effects(GANITE)と命名した。本手法では、反事実生成器Gを用いて反事実結果の代理変数を生成し、その代理をITE生成器Iに渡して学習を実施する。GANフレームワークを用いて両方の生成器をモデル化することで、観測された事実データに基づいた推定が可能になるとともに、観測されていない反事実を適切に考慮できる。本手法は、二値治療および多値治療を含む3つの実世界データセットを用いて評価され、最先端手法を上回る性能を示した。