要約
知識ベース質問応答(KBQA)は、知識ベース(KB)上での事実型質問に対して自動的に回答を導出することを目的としている。複数のKB関係や制約を必要とする複雑な質問に対しては、質問理解、コンポーネントリンク(エンティティ、関係、型のリンクなど)、クエリ構成といった多くの課題が存在する。本論文では、複雑な質問の構造を表現するための新規なグラフ構造であるエンティティ記述グラフ(Entity Description Graph: EDG)を提案する。このEDG構造を活用することで、上記の課題を緩和できる。提示された質問のEDG構造を基に、DBpedia上で動作するQAシステム「EDGQA」を実装した。広範な実験により、EDGQAがLC-QuADおよびQALD-9の両方で最先端の手法を上回る性能を達成したことが確認され、EDGに基づく質問分解がKB上での複雑な質問応答に実現可能であることが示された。