要約
心電図(ECG)は、臨床的に心律不整(CAs)を検出するため広く用いられている。また、心疾患の診断を支援するコンピュータ支援手法の開発にも活用されている。本研究では、中国生理信号チャレンジ(CPSC)2018が提供した大規模な12誘導ECGデータセット(6,877件の記録)を用いて、心律不整の検出および分類を目的とした畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを構築した。このモデルはチャレンジコンペティションで1位を獲得し、CPSC2018の隠しテストセット(2,954件のECG記録)における9種類の心律不整分類において、中央値として0.84のF1スコアを達成した。さらに解析の結果、データセット内の複数種類の心律不整を有する476例の患者において、併存する心律不整が適切に予測可能であることが示された。一方で、単一誘導のデータのみを用いた場合でも、12誘導すべてを使用した場合と比較して性能はわずかに劣るにとどまり、特にaVR誘導およびV1誘導が特に顕著な情報を提供していた。本研究の結果について、臨床的観察との整合性および臨床的意義の観点から包括的に検討した。