コンピュータビジョン(CV)分野において、処理速度と精度のバランスを保つことは依然として大きな課題である。近年の研究では、計算効率と特徴抽出の最適化を図る軽量ネットワークの開発が注目されている。しかし、小規模かつ多スケールのオブジェクト検出が極めて重要なリモートセンシング(RS)画像においては、こうしたネットワークは性能面で限界に直面している。この課題を解決するために、本研究ではリソース制約環境下におけるRS視覚タスクに特化した革新的な軽量バックボーンネットワーク「DecoupleNet」を提案する。DecoupleNetは、特徴統合ダウンサンプリング(FID)モジュールとマルチブランチ特徴デカップリング(MBFD)モジュールの2つのキーモジュールを組み込んでいる。FIDモジュールはダウンサンプリング過程において小規模オブジェクトの特徴を保持する一方、MBFDモジュールは新たなデカップリングアプローチにより、小規模および多スケールオブジェクトの特徴表現を強化する。3つのRS視覚タスクにおける包括的な評価から、従来の軽量ネットワークと比較して、DecoupleNetが精度と計算効率の優れたバランスを実現していることが示された。NWPU-RESISC45分類データセットでは、DecoupleNetはトップ1精度95.30%を達成し、FasterNetを2%上回りながらも、パラメータ数と計算オーバーヘッドが低く抑えられている。DOTA 1.0テストセットを用いたオブジェクト検出タスクでは、78.04%の精度を記録し、ARC-R50を0.69ポイント上回った。また、LoveDAテストセットにおけるセマンティックセグメンテーションでは53.1%の精度を達成し、UnetFormerを0.70ポイント上回った。これらの成果は、リソース制約環境下でのRS画像解析の進展に新たな道を開くものであり、本分野における重要なギャップを埋めるものである。コードおよび事前学習済みモデルは、https://github.com/lwCVer/DecoupleNet にて公開されている。