要約
ECoGを用いた脳-機械インターフェース(BMI)における最も興味深い課題の一つは、運動予測である。このような予測が可能になれば、ロボットアームやロボットハンドなどの機械に対して高精度な指令を実現する道が開かれる。BCIコミュニティにおけるこの問題に対する関心の高まりを裏付ける形で、第4回BCIコンペティションでは、ECoG信号から個々の指の運動を予測することを目的としたデータセットが提供された。この問題の難しさは、ECoG信号と指の運動の間に単純な関係が存在しない点に起因する。本論文では、隠れ状態によって制御されるスイッチングモデルを用いて、指の屈曲運動を推定・復号する手法を提案する。スイッチングモデルは、復号問題に関する事前知識を統合でき、微細かつ高精度な運動の予測を支援する。本モデルは、まずどの指が動いているかを推定するブロックと、その指が動いていることを前提として、他のすべての指の運動を予測するブロックから構成されている。コンペティションに提出された数値結果によれば、隠れ状態が適切に推定された場合、本モデルは高い復号性能を示した。このアプローチは、実測値と予測値の間の相関係数が0.42という結果を達成し、BCIコンペティションで第2位を獲得した。