要約
メトリック学習アルゴリズムは、データ間の重要な関係を捉えた距離メトリックを生成する。本研究では、メトリック学習と協調フィルタリングの関係に着目し、ユーザーの好みだけでなく、ユーザー同士およびアイテム同士の類似性も同時に表現できる統合的なメトリック空間を学習する「協調的メトリック学習(Collaborative Metric Learning, CML)」を提案する。提案手法は、幅広い推薦タスクにおいて最先端の協調フィルタリング手法を上回る性能を示し、ユーザーの細分化された好みの背後にある構造を明らかにする。また、標準的な近似最近傍探索(approximate nearest-neighbor search)を活用することで、Top-K推薦タスクにおいて顕著な高速化を達成しつつ、精度の低下は極めて小さく抑えている。