
要約
グラフニューラルネットワーク(GNN)から学習された高品質なノード埋め込みは、多数のノードベースの応用に活用されており、その中には最先端(SOTA)の性能を達成した例も存在する。しかし、GNNから得られたノード埋め込みをグラフ埋め込みの生成に適用する際、スカラー表現によるノード表現では、ノードおよびグラフの特性を効率的に保持できず、結果として最適でないグラフ埋め込みが得られることがある。キャプセルニューラルネットワーク(CapsNet)のアイデアに着想を得て、本研究では「キャプセルグラフニューラルネットワーク(CapsGNN)」を提案する。このモデルは、従来のGNNベースのグラフ埋め込み手法における欠点を克服するために、キャプセルの概念を導入している。ノード特徴をキャプセル形式で抽出することで、ルーティング機構を活用してグラフレベルでの重要な情報を捉えることが可能となる。その結果、各グラフに対して複数の埋め込みを生成し、異なる視点からグラフの特性を表現できるようになる。さらに、CapsGNNに組み込まれたアテンションモジュールにより、サイズの異なるグラフに対しても適応可能となり、特に重要なグラフ部分に注目する能力が得られる。10種類のグラフ構造データセットを用いた広範な評価において、CapsGNNはデータ駆動型のアプローチにより、グラフ全体のマクロな特性を効果的に捉える強力な機構を持つことが示された。この新たな手法の導入により、複数のグラフ分類タスクにおいて、他の最先端技術を上回る性能を達成した。