要約
イベントハンドラは、医療アシスタントシステムや火災抑止システムなど、多岐にわたる応用が可能である。これらのシステムは、最小限の情報に基づいて正確な応答を提供することを目指している。サポートベクタデータ記述(SVDD)は、情報不足に直面する状況においても適切に機能する検出手法として適している。そのため、SVDDの性能向上に向けた多数の研究が行われている。しかし、既存のSVDD手法は、疎なデータセットにおいてデータの特徴を十分に捉えられず、調整パラメータの設定が不適切であるという課題を抱えている。これらの問題は、データ不足に直面した際のイベントハンドラの精度低下を引き起こす。そこで本研究では、ファジィ粗集合から着想を得た「検証度」を用いてデータの特徴を効果的に抽出し、さらにカオス的バットアルゴリズム(chaotic bat algorithm)を活用して調整パラメータに有効な値を自動的に割り当てる、自動化されたサポートベクタデータ記述(ASVDD)を提案する。ASVDDの性能評価のため、UCI機械学習リポジトリに掲載された多様なデータセットを用いた実験を実施した。実験結果から、提案手法は分類精度およびAUC(受信者操作特性曲線下の面積)において、最先端の手法を上回る優れた性能を示した。さらに、提案手法と先進的手法との間の精度差が統計的に有意であることを検証するため、ウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon statistical test)を実施した。