
要約
多関係データにおけるエンティティおよび関係の分散表現を学習し、その中での欠落リンクを予測する問題について検討する。近年、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、パラメータ効率を維持しつつモデルの表現力が向上するという点で、この問題に対して優れた性能を示している。しかし、これまでの畳み込み設計は、入力となるエンティティと関係間の完全な相互作用をモデル化できていないという課題を抱えており、リンク予測の性能に潜在的な制約をもたらしている。本研究では、畳み込み構造を用いてエンティティと関係の相互作用を最大化するための適応的畳み込みネットワーク「ConvR」を提案する。ConvRは、関係の表現から畳み込みフィルタを適応的に構築し、そのフィルタをエンティティ表現に適用して畳み込み特徴を生成する。これにより、異なる領域においてエンティティ表現と関係表現の豊かな相互作用を実現でき、生成されるすべての畳み込み特徴がこのような相互作用を捉えることができる。ConvRは複数のベンチマークデータセット上で評価された。実験結果から以下のことが明らかになった:(1)ConvRは、ほぼすべての指標およびすべてのデータセットにおいて、競合するベースラインよりも顕著に優れた性能を示した;(2)最先端の畳み込みモデルと比較して、ConvRはより効果的かつ効率的である。MRRは7%向上し、Hits@10は6%向上した一方で、パラメータ保存量は12%削減された。