要約
本稿では、空間バイアス(Spatial Bias, SB)を組み込んだ軽量顔面表情認識ネットワークである「Lightweight Facial Network with Spatial Bias(LFNSB)」を提案する。LFNSBモデルは、モデルの複雑さと認識精度のバランスを良好に維持している。本モデルは、2つの主要な構成要素からなる:軽量な特徴抽出ネットワーク(Lightweight Feature Network, LFN)と、グローバルな情報を統合するための空間バイアス(SB)モジュールである。LFNは、チャネル結合演算とディープワイズ畳み込み技術を組み合わせることで、パラメータ数を効果的に削減しつつ、特徴表現能力を向上させている。一方、空間バイアスモジュールは、局所的な顔面特徴に注目しつつ、顔面の異なる領域間の依存関係も捉えることが可能となる。さらに、特徴ベクトルの高次元空間における相対的位置関係を最適化する新たな損失関数「Cosine-Harmony Loss」を設計した。この損失関数により、特徴の分離性とクラスタリング性能が向上し、より明確な分類境界が実現される。AffectNetおよびRAF-DBデータセットにおける実験結果から、提案するLFNSBモデルが顔面表情認識タスクにおいて優れた性能を発揮することが確認された。高精度な認識が達成される一方で、パラメータ数を大幅に削減しており、モデルの複雑さを著しく低減することが可能である。