
要約
グラフニューラルネットワーク(GNN)は高次相互作用を効果的にモデル化できるため、推薦をはじめとするさまざまなパーソナライズ応用で広く活用されている。しかし、主流のパーソナライズ手法は、グローバルグラフ上で中央集権的なGNN学習に依存しており、ユーザーデータの機密性が高いため、大きなプライバシーリスクを伴う。本研究では、効果的かつプライバシー保護を実現するパーソナライズを可能にするフェデレーテッドGNNフレームワーク「FedPerGNN」を提案する。分散型のローカルデータから推定される分散グラフに基づき、プライバシー保護型のモデル更新手法を用いて、共同でGNNモデルを学習する。さらに、ローカル相互作用を超えたグラフ情報を活用するため、プライバシー保護下で高次情報を取り入れるためのプライバシー保護型グラフ拡張プロトコルを導入した。異なるシナリオにおけるパーソナライズを対象とした6つのデータセットでの実験結果から、FedPerGNNは最先端のフェデレーテッドパーソナライズ手法と比較して、良好なプライバシー保護の下で4.0%~9.6%の誤差低減を達成した。FedPerGNNは、責任ある知能型パーソナライズを実現するための、分散型グラフデータをプライバシー保護の観点から活用する有望な方向性を示している。