Few-Shot Class-Incremental LearningのためのテクニックのBag

本稿では、少量サンプルで継続的に新しいタスクに適応する「少サンプル連続的増分学習(Few-shot Class-Incremental Learning: FSCIL)」という、非常に挑戦的な連続学習の枠組みに対して、「トリックのBag of Tricks」フレームワークを提案する。FSCILは、過去に学習したタスクの能力を維持しつつ、新たなタスクを効果的に学習するという、安定性(stability)と適応性(adaptability)の両立を必要とする。本研究で提案するBag of Tricksは、FSCILの文脈において安定性、適応性、全体的な性能を向上させる6つの主要かつ影響力の高い技術を統合したフレームワークであり、それらを3つのカテゴリに分類して体系化している。第一に「安定性トリック」は、既に学習済みのクラスの特徴表現同士の分離性を強化し、新しいクラスを学習する際の干渉を最小限に抑えることで、過去の知識の忘却を軽減することを目的とする。第二に「適応性トリック」は、新規クラスの効率的かつ正確な学習を促進することに焦点を当てる。第三に「訓練トリック」は、安定性や適応性を損なうことなく、全体の学習性能を向上させることを目的としている。本研究では、CIFAR-100、CUB-200、miniImageNetの3つのベンチマークデータセット上で広範な実験を実施し、提案フレームワークの有効性を評価した。詳細な分析の結果、本手法は安定性と適応性の両面で顕著な向上を実現し、従来手法を上回る性能を達成し、本分野における新たな最良の成果(state-of-the-art)を確立した。本研究の手法は、今後のFSCIL研究における標準的な基準(robust baseline)としての価値を持ち、実用的なソリューションとしての可能性を示していると確信している。