
要約
近年、顔認識技術は実世界のアプリケーションにおいてますます広く利用されるようになっている。しかし、肌色のバイアスが、照明の悪さや個人内変動(イントラペルソナル変動)といった要因と組み合わさると、顔認識タスクは人間による検査でも失敗しやすくなる。顔正規化手法は、入力画像から個人内変動を除去しつつも、本人の識別情報を保持することを目的としている。しかしながら、多数の顔正規化手法は、一つまたは二つの変動しか除去できず、肌色バイアスのようなデータセットバイアスには対応できていない。また、多くの顔正規化手法の出力は人間観察者にとって現実的とは言えない場合が多い。本研究では、顔のポーズの大幅な変化、不適切または強い照明、低解像度、ぼやけ、表情の変化、サングラスなどの装飾品といった、多くの個人内変動を同時に除去できるスタイルベースの顔正規化モデル(StyleFNM)を提案する。さらに、事前学習済みのGANを制御することで、パスポート画像に類似したバランスの取れたデータセットを生成することにより、データセットバイアスに対処する。実験結果から、StyleFNMはより現実的な出力を生成でき、顔認識システムの精度と公平性を顕著に向上させることを示した。