
要約
我々は、優れた検出精度を実現しつつ、優れた説明可能性(explainability)を提供する新たな時系列異常検出手法を提案する。本研究で提案するTimeVQVAE-ADは、最先端の時系列生成手法であるTimeVQVAEから発展したマスク付き生成モデルを活用している。この手法では、時間周波数領域における離散的潜在空間(discrete latent space)上で事前モデル(prior model)を学習する。特に、時間周波数領域の次元的意味(dimensional semantics)が潜在空間に保持されることにより、異なる周波数帯域における異常スコアを計算可能となり、検出された異常に対するより深い洞察が得られる。さらに、事前モデルの生成的性質により、検出された異常に対して可能性の高い正常状態をサンプリングすることが可能となり、反事実(counterfactuals)を通じて異常の説明可能性が向上する。UCR時系列異常検出アーカイブにおける実験評価により、TimeVQVAE-ADが既存手法に比べて検出精度および説明可能性の面で顕著に優れていることが示された。実装コードはGitHubにて公開している:https://github.com/ML4ITS/TimeVQVAE-AnomalyDetection。