
要約
本稿では、効率的な関係回転を用いた翻訳ベースの知識グラフ埋め込み手法であるTransERRを提案する。これは従来の翻訳ベース知識グラフ埋め込みモデルに対するシンプルでありながら効果的な代替手法である。従来の翻訳ベースモデルとは異なり、TransERRはハイパーコンプレックス値空間において知識グラフを表現することで、頭部エンティティと末尾エンティティ間の潜在情報の抽出においてより高い翻訳自由度を実現する。さらに、翻訳距離を最小化するために、TransERRは学習可能な単位クォータニオンを用いて頭部エンティティおよび末尾エンティティを適応的に回転させる。本手法が対称性、反対称性、逆関係、合成、部分関係といった多様な関係パターンをモデル化する能力について、数学的証明を提供している。10個のベンチマークデータセットを用いた実験により、TransERRの有効性および汎化能力が検証された。結果から、従来の翻訳ベースモデルと比較して、より少ないパラメータで大規模データセットをより効果的に符号化できることが示された。本研究のコードおよびデータセットは、~\url{https://github.com/dellixx/TransERR} にて公開されている。