
要約
交通予測は機械学習分野における最も代表的な空間時系列タスクの一つである。現在の主流アプローチとして、空間時系列処理においてグラフ畳み込みネットワーク(GCN)と再帰型ニューラルネットワーク(RNN)を組み合わせる手法が広く用いられている。この分野では激しい研究競争が続いており、多数の新規手法が提案されている。本論文では、空間時系列グラフニューラル粗微分方程式(STG-NRDE)という新しい手法を提案する。ニューラル粗微分方程式(NRDE)は時系列データ処理において画期的な概念であり、その中心的なアイデアは、時系列サンプルを対応する短い特徴ベクトル系列に変換するための対数シグネチャー変換(log-signature transform)を用いることにある。本研究ではこの概念を拡張し、時間的処理用と空間的処理用の2種類のNRDEを設計した。その後、これらを統合した単一のフレームワークとして構築した。6つのベンチマークデータセットと27種類のベースラインを用いた実験において、STG-NRDEはすべてのケースで最も高い精度を達成し、すべてのベースラインに対して有意な性能向上を示した。