
要約
時系列分類(Time Series Classification, TSC)は、多くの視覚コンピューティング応用において重要な課題であり、同時に高い技術的挑戦性を有する。TSCに向けた手法は多数開発されてきたが、その中で深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Networks, DNNs)を活用したものは依然として限られている。本論文では、特定のデータセットやタスクに最適化されたDNNベースのTSCアプローチに対しても、性能を向上させることが可能な2つの新規アテンションブロック(グローバル時系列アテンションと、時系列疑似ガウス拡張自己アテンション)を提案する。本手法の有効性を検証するために、30の多変量時系列分類(Multivariate Time Series Classification, MTSC)データセットから構成される標準化ベンチマーク「イースト・アングリア大学(University of East Anglia, UEA)ベンチマーク」を用いて、複数の最先端DNNベースTSCモデルを評価した。その結果、提案するアテンションブロックを導入することで、ベースモデルの平均正解率が最大で3.6%向上することを示した。さらに、提案するTPS(Temporal Pseudo-Gaussian)ブロックは、相対的な位置情報を取り込む新しいインジェクションモジュールを採用しており、計算量が低く、独立したモジュールとしての実装が可能な点が特徴である。この特性により、TPSは多くの最先端DNNベースTSC手法を上回る性能を発揮する。本研究の実験設定および提案アテンションブロックのソースコードは、公開されている。