17日前
PDFormer:伝播遅延を考慮した動的長距離Transformerによる交通流予測
Jiawei Jiang, Chengkai Han, Wayne Xin Zhao, Jingyuan Wang

要約
インテリジェント交通システム(ITS)の基盤技術として、交通流予測は幅広い応用が期待されている。交通流予測の根本的な課題は、交通データに内在する複雑な空間時系列依存関係を効果的にモデル化することにある。近年、空間時系列グラフニューラルネットワーク(GNN)モデルが、この問題を解決する有望な手法として注目されている。しかし、GNNに基づく手法には交通予測において三つの主要な限界が存在する。第一に、多くの手法が空間依存関係を静的かつ固定された形でモデル化しているため、都市交通の動的変化を適切に捉える能力に制限がある。第二に、多くの手法は短距離の空間情報をのみ考慮しており、長距離の空間依存関係を捉えることができない。第三に、交通システムにおける場所間の交通状態の伝播には時間遅延が生じるという事実を無視している。このような問題に対処するため、本研究では、時間遅延を意識した動的長距離変換器(Transformer)である「PDFormer(Propagation Delay-aware dynamic long-range Transformer)」を提案する。具体的には、動的空間依存関係を捉えるための空間自己注意モジュールを設計し、短距離および長距離の視点から空間依存関係を強調するための2つのグラフマスキング行列を導入した。さらに、交通状態の伝播遅延を明示的にモデル化できる能力を付与するため、遅延感知型特徴変換モジュールを提案した。6つの実世界公開交通データセットを用いた広範な実験結果から、本手法が最先端の性能を達成するだけでなく、競争力のある計算効率を示したことが確認された。また、学習された空間時系列注意マップの可視化により、モデルの解釈性を高めている。