
要約
人物再識別(ReID)タスクにおいて、多くの研究ではグローバル画像特徴に比べて性能を向上させるために部分特徴の学習に注目している。従来の手法は、手動で設計された画像分割または外部の視覚システムによって得られたキーポイントを用いて、明示的に部分特徴を抽出している。本研究では、明示的な身体部位とは分離された「識別的暗黙的部位(Discriminative implicit Parts: DiPs)」を学習する手法を提案する。このDiPsは、事前に定義された身体部位(例:アクセサリーなど)にとらわれず、人物識別に有益な任意の識別的特徴を学習可能である。さらに、各DiPに対して幾何学的解釈を与える新たな「暗黙的位置(implicit position)」を導入した。この暗黙的位置は、DiPが画像内の人物に対してより位置等価性(position-equivariance)を持つように学習を促すための学習信号としても機能する。また、視認不可や遮蔽状態に対応するため、追加のDiP重み付け機構を導入し、DiPsの特徴表現をさらに向上させた。広範な実験により、提案手法が複数の人物ReIDベンチマークで最先端の性能を達成することが示された。