
要約
既存の多数の画像復元(Image Restoration, IR)モデルはタスク特化型であり、異なる劣化演算子に一般化できない。本研究では、画像の超解像、色付け、穴埋め、圧縮センシング、ぼかし除去など、線形IR問題の任意のケースに対応可能な、ゼロショットフレームワークとして「ノイズ除去拡散ノルム空間モデル(Denoising Diffusion Null-Space Model, DDNM)」を提案する。DDNMは、追加の学習やネットワーク構造の変更を必要とせず、既存の汎用拡散モデルを生成的事前知識(generative prior)として利用するのみである。逆拡散プロセスにおいて、ノルム空間(null-space)内のコンテンツのみを精緻化することで、データ整合性と現実性の両方を満たす多様な復元結果を得ることができる。さらに、ノイズを含む復元に対応し、困難なタスクの復元品質を向上させるために、強化・頑健化されたバージョンであるDDNM+も提案する。複数のIRタスクにおける実験結果から、DDNMは他の最先端ゼロショットIR手法を上回ることを示した。また、DDNM+が実世界の複雑な応用例、例えば古写真の復元などにも有効であることを実証した。