3ヶ月前

不規則な運動と類似した外観を持つ物体を追跡するのは難しい?マッチング空間をバッファすることで、それを簡単にしよう。

Fan Yang, Shigeyuki Odashima, Shoichi Masui, Shan Jiang
不規則な運動と類似した外観を持つ物体を追跡するのは難しい?マッチング空間をバッファすることで、それを簡単にしよう。
要約

不規則な運動および区別不能な外見を持つ複数オブジェクトを追跡するため、本研究では「カスケード型バッファ付きIoU(C-BIoU)トラッカー」を提案する。外見特徴が信頼できない状況や、不規則な運動によって幾何学的特徴が混同される場合には、従来の複数オブジェクト追跡(MOT)手法を適用しても満足のいく結果が得られないことがある。この課題に対処するため、本C-BIoUトラッカーは検出結果とトラック間にマッチング領域を拡張するためのバッファを導入し、不規則な運動の影響を二つの側面から軽減する。一つは、隣接フレームにおける同一オブジェクトであっても重複しない検出結果とトラックを直接マッチングできるようにすることであり、もう一つはマッチング空間における運動推定バイアスを補正することである。さらに、マッチング領域の過剰拡張を回避するため、カスケード型マッチングを採用している。すなわち、まず小さなバッファを用いて生存中のトラックと検出結果をマッチングし、その後、未マッチングのトラックと検出結果に対して大きなバッファを用いて再マッチングを行う。この手法は構造的に単純であるにもかかわらず、不規則な運動と区別不能な外見を特徴とするMOTデータセットにおいて、最先端の性能を達成している。さらに、CVPR'22 SoccerNet MOTおよびECCV'22 MOTComplex DanceTrackチャレンジにおいて、本手法は2位のソリューションの主要な構成要素となっている。最後に、アブレーションスタディを通じてC-BIoUトラッカーの限界を分析し、その適用範囲についても議論する。