
要約
動画のブラー除去手法の成功の鍵は、中間フレームのぼやけた画素を、隣接する動画フレームの鮮明な画素で補完することにある。したがって、主流の手法は、推定された光流(optical flow)に基づいて隣接フレームをアライメントし、アライメント後のフレームを統合して復元を行う。しかし、これらの手法は、画素ごとのぼやけ具合をほとんど考慮しないため、しばしば不満足な結果をもたらすことがある。実際、動画フレーム内のすべての画素が鮮明であるわけではなく、すべての画素がブラー除去に有益とは限らない。この問題に対処するために、本研究では、動画フレームの画素単位のぼやけ具合を考慮して鮮明な画素の情報を抽出する、空間時間可変アテンションネットワーク(Spatio-Temporal Deformable Attention Network, STDANet)を提案する。具体的には、運動推定器と空間時間可変アテンション(STDA)モジュールを備えたエンコーダ・デコーダ型ネットワークであり、運動推定器が粗い光流を予測し、その光流をSTDAモジュールにおける基準オフセットとして用いて、対応する鮮明な画素を特定する。実験結果から、提案手法のSTDANetはGoPro、DVD、BSDの各データセットにおいて、最先端の手法と比較しても優れた性能を示すことが確認された。