
要約
最近の画像復元分野においては、著しい進歩が見られますが、最先端(State-of-the-Art: SOTA)手法のシステム複雑さも増しており、これが手法の便利な分析や比較を妨げている可能性があります。本論文では、SOTA手法を超えるだけでなく計算効率にも優れた単純なベースラインを提案します。さらにこのベースラインを簡素化するために、非線形活性化関数(例:シグモイド、ReLU、GELU、Softmaxなど)が不要であることを明らかにしました。これらの関数は乗算によって置き換えたり、削除することができます。これにより、非線形活性化関数を用いないネットワークであるNonlinear Activation Free Network(NAFNet)を導出しました。NAFNetは様々な挑戦的なベンチマークでSOTA結果を達成しています。例えば、GoProデータセット(画像のぼかし除去)では33.69 dBのPSNR値を記録し、以前のSOTA手法より0.38 dB上回りながらその計算コストの8.4%のみで動作します。また、SIDDデータセット(画像ノイズ除去)では40.30 dBのPSNR値を達成し、以前のSOTA手法より0.28 dB上回りながらその計算コストの半分以下で動作します。本研究におけるコードと事前学習済みモデルは、https://github.com/megvii-research/NAFNet にて公開されています。