17日前

時系列知識グラフ上の質問応答における時間感応性の向上

Chao Shang, Guangtao Wang, Peng Qi, Jing Huang
時系列知識グラフ上の質問応答における時間感応性の向上
要約

時系列知識グラフ(KG)上の質問応答は、エンティティ間の関係とその発生時刻を記録する時系列KGに含まれる事実を効率的に活用し、自然言語による質問(例:「オバマ大統領の前には誰がアメリカ大統領だったか?」)に答えます。このような質問は、従来の研究が十分に対応できていない3つの時間関連の課題を含んでいます。第一に、質問において特定の時刻(例:2000年)が明示されていない場合が多く、代わりに「オバマ」といった人物名が用いられる点です。第二に、時間関係を表す語彙の微細な違い(例:「前」vs「後」)が質問の意味に大きな影響を与える点です。第三に、従来の研究が基盤としている汎用的な時系列KG埋め込み(embeddings)は、時刻の順序情報を無視しており、時間順序に関する質問を正しく解く上で極めて重要な情報を欠いています。本論文では、これらの課題に対処するため、時間に敏感な質問応答(Time-Sensitive Question Answering, TSQA)フレームワークを提案します。TSQAは、質問から明示されていない時刻を推定するためのタイムスタンプ推定モジュールを備えています。さらに、時系列KG埋め込みに順序情報を注入するための時間に敏感なKGエンコーダーを採用しています。また、候補となる回答の探索空間を縮小するための技術を活用することで、TSQAは新たな時系列KG上での質問応答ベンチマークにおいて、従来の最先端手法を大幅に上回り、特に時系列KG内の複数の事実を段階的に推論する必要がある複雑な質問において、絶対誤差を32%削減するという優れた成果を達成しました。