StrongSORT:DeepSORTを再び優れたものへと

近年、マルチオブジェクトトラッキング(MOT)は注目を集め、それに伴い顕著な進展が達成されている。しかし、既存の手法は多様な基本モデル(例:検出器および特徴埋め込みモデル)や、異なる学習・推論テクニックを用いる傾向にあり、公平な比較を可能にする良好なベースラインの構築が不可欠となっている。本論文では、まず古典的なトラッカーであるDeepSORTを再検討し、オブジェクト検出、特徴埋め込み、トラジェクトリ連携の観点から大幅に改善を加えた。提案するトラッカー「StrongSORT」は、MOTコミュニティにおける強固かつ公正なベースラインを提供するものである。さらに、MOTに内在する「欠落」問題である「連携の欠落」と「検出の欠落」に対処するため、軽量かつ即插即用の2つのアルゴリズムを提案する。具体的には、多くの手法が高計算コストで短いトラックレットを統合して完全な軌道を構成するのに対し、本研究では外見情報を利用しないグローバル連携モデル「AFLink」を提案。これにより、速度と精度の良好なバランスを実現している。また、ガウス過程回帰に基づくガウス平滑化補間(GSI)を導入し、検出の欠落を軽減する。AFLinkおよびGSIは、計算コストの増加が極めて小さい(MOT17上ではそれぞれ1.7msおよび7.1ms/画像)ため、さまざまなトラッカーに容易に統合可能である。最終的に、StrongSORTにAFLinkとGSIを統合したStrongSORT++は、MOT17、MOT20、DanceTrack、KITTIの複数の公開ベンチマークにおいて最先端の性能を達成した。コードは、https://github.com/dyhBUPT/StrongSORT および https://github.com/open-mmlab/mmtracking にて公開されている。