本稿では、医療用個人防護具（Medical Personal Protective Equipment）の下位カテゴリ分類（subordinate categorization）の研究を可能にするために、新たな挑戦的なデータセット「CPPE-5（Medical Personal Protective Equipment）」を提案する。既存の代表的なデータセット（PASCAL VOC、ImageNet、Microsoft COCO、OpenImagesなど）は広義のカテゴリに焦点を当てており、本研究の目的である細分化されたカテゴリ分類には不向きである。本データセットは、実際の複雑なシーンにおいて複数の物体が自然な状況で配置された画像を主に含むことで、学習済みモデルが実用的な場面で容易に活用できるよう設計されている。画像収集の重点は、可能な限り「非象徴的（non-iconic）」な画像を多数収集し、すべての画像が現実世界の実態を正確に反映したリアルな画像であることを保証することに置かれている。本データセットには、カバーオール、フェイスシールド、手袋、マスク、ゴーグルの5つのオブジェクトカテゴリが含まれ、各画像にはバウンディングボックスと正のラベルが付与されている。また、本データセットを他の代表的な広義カテゴリデータセットおよび個人防護具に特化したデータセットと比較して詳細な分析を行い、現在までに同様の公開データセットは存在しないことを明らかにした。さらに、バウンディングボックス推定におけるベースラインモデルおよび最先端モデルの性能とモデルの複雑さについても比較分析を行った。本研究のコード、データセット、および学習済みモデルは、https://git.io/cppe5-dataset にて公開されている。