
要約
歩行者検出における従来の手法は、混雑した歩行者間の相互遮蔽に対処するか、あるいは歩行者の多様なスケールに対応することに主眼を置いてきた。異なる歩行者輪郭、異なる視点、あるいは異なる服装といった顕著な外観差異を有する歩行者の検出は、依然として重要な課題である。既存の多くが個別に多様な歩行者外観特徴を学習するのではなく、本研究では対照学習(contrastive learning)を導入し、学習された特徴空間において、外観が異なる歩行者間の意味的距離を最小化することで外観差異を軽減するとともに、歩行者と背景との距離を最大化するように特徴学習を誘導するアプローチを提案する。対照学習の効率性と有効性を高めるために、代表的な歩行者外観を事前知識として含むエキスパート辞書(exemplar dictionary)を構築し、効果的な対照学習ペアを生成することで、学習を適切にガイドする。さらに、構築されたエキスパート辞書は、推論段階において歩行者候補の品質評価にも活用され、候補と辞書内のエキスパートとの意味的距離を測定することで、候補の妥当性を評価する。昼間および夜間の歩行者検出において実施された広範な実験により、提案手法の有効性が実証された。