17日前
リラックスド・アテンション:エンドツーエンド自動音声認識の性能向上を図るシンプルな手法
Timo Lohrenz, Patrick Schwarz, Zhengyang Li, Tim Fingscheidt

要約
近年、注意機構を備えたエンコーダ-デコーダー(AED)モデルは、複数のタスクにおいてエンドツーエンド型自動音声認識(ASR)で高い性能を示している。本論文では、こうしたモデルにおける過信(overconfidence)の問題に対処するため、「緩やかな注意(relaxed attention)」という新しい概念を提案する。これは、学習中にエンコーダ-デコーダーの注意重みに均一分布を段階的に注入するシンプルな手法であり、わずか2行のコードで容易に実装可能である。本研究では、異なるAEDモデルアーキテクチャおよび代表的な2つのASRタスク(Wall Street Journal: WSJ および Librispeech)において、緩やかな注意の効果を検証した。その結果、緩やかな注意を用いて訓練されたTransformerモデルは、外部言語モデルを用いたデコードにおいて、標準的なベースラインモデルを一貫して上回る性能を発揮した。特にWSJタスクにおいて、単一のハイパーパラメータのみを導入したにもかかわらず、単語誤り率(WER)3.65%という新たなベンチマークを達成し、既存の最先端技術(4.20%)を13.1%相対的に上回った。