
要約
時系列知識グラフ(Temporal Knowledge Graphs, Temporal KGs)は、通常の知識グラフに各エッジに時系列的な範囲(開始時刻と終了時刻)を付与することで拡張されたものである。知識グラフ上の質問応答(KGQA)は研究コミュニティにおいて一定の注目を集めているが、時系列知識グラフ上の質問応答(Temporal KGQA)は依然として比較的未開拓な分野である。また、広範なカバーを備えたデータセットの不足も、この分野の進展を妨げる要因の一つであった。本研究では、構造的複雑さの階層に明確に分類された、現在までに知られている最大規模のTemporal KGQAデータセット「CRONQUESTIONS」を提示することで、この課題に取り組んだ。CRONQUESTIONSは、既存で唯一知られていたデータセットを340倍に拡張したものである。我々は、さまざまな最先端のKGQA手法がこの新しいデータセット上で望ましい性能を達成できていないことを確認した。これに対応して、時系列知識グラフ埋め込みの最新の進展を活用したTransformerベースのアプローチ「CRONKGQA」を提案した。この手法は、すべてのベースラインを上回る性能を達成し、次に優れた手法と比べて精度を120%向上させた。広範な実験を通じて、CRONKGQAの動作メカニズムに関する詳細な洞察を提供するとともに、さらなる大幅な性能向上が可能な状況についても示した。本研究ではデータセットに加えて、コードも公開している。