
要約
本研究では、同一の知識ベース(Knowledge Base)ペアを含む文の表現を近づけることで、遠隔教師あり関係抽出を促進するマルチタスクかつ確率的アプローチを提案する。この目的を達成するため、関係分類器と同時に学習される変分自己符号化器(Variational Autoencoder: VAE)を用いて、文の潜在空間にバイアスをかける。この潜在コードはペア表現を導くとともに、文の再構成に影響を与える。遠隔教師あり手法によって構築された2つのデータセットにおける実験結果から、マルチタスク学習が性能向上をもたらすことが示された。さらに、VAEに知識ベースの事前知識(prior)を組み込むことで、文の表現空間を知識ベースの空間に近づけることが可能となり、解釈可能性が向上するとともに、性能のさらなる向上が得られた。