
要約
エンドツーエンド型意味役割ラベリング(SRL)は、近年ますます注目を集めている。この手法は、SRLの二つのサブタスクである述語同定と格要素ラベリングを統合的に処理する。最近の研究は主にグラフベースのニューラルモデルに注目しているが、多くの関連タスクで広く用いられてきたニューラルネットワークを活用した遷移ベースのフレームワークは、依然としてこの統合タスクに対しては十分に検討されていない。本論文では、エンドツーエンド型SRLに対する遷移ベースのニューラルモデルの初めての試みを提示する。本研究で提案する遷移モデルは、一連の遷移操作を通じて、文内のすべての述語およびそれらの格要素を段階的に発見する。二つのサブタスクのための遷移操作は相互に作用し、完全な相互作用を実現する。さらに、非局所特徴を抽出するための高次元コンポジションを導入することで、提案モデルの性能をさらに向上させることを提案する。CoNLL09およびUniversal Proposition Bankにおける実験結果から、本モデルが最先端の性能を達成しつつ、推論処理の効率性も高いことを示した。また、提案モデルの挙動を深く理解するための詳細な実験分析も実施した。