
ニューラルアーキテクチャ探索(Neural Architecture Search, NAS)は、特定のタスクに特化して手作業で設計されたニューラルアーキテクチャに代わる可能性を秘めた新たな研究分野として注目されている。これまでの進化的アプローチに基づくアーキテクチャ探索手法は、高い計算リソースを要するため、探索に長時間を要していた。本研究では、ワンショットモデル(one-shot model)のアーキテクチャパラメータを用いて、単純な遺伝的アルゴリズムをNAS問題に適用する新しい手法、EvNAS(Evolving Neural Architecture using One Shot Model)を提案する。この手法は、従来の進化的手法よりも大幅に探索時間を短縮しつつ、より優れた性能を達成する。アーキテクチャは、ワンショットモデルのアーキテクチャパラメータによって表現され、これにより同一のアーキテクチャ集団内では重みの共有が可能となり、さらに世代間での重みの継承も実現される。本研究では、アーキテクチャパラメータに対するデコード技術を提案し、その技術により勾配情報の大部分を特定のアーキテクチャに集中させるとともに、探索過程におけるワンショットモデルによるアーキテクチャの性能予測精度を向上させる。さらに、検証データ上で部分的に訓練されたアーキテクチャの精度を、その適応度(fitness)の予測指標として用いることで、探索時間を削減する。EvNASは、プロキシデータセット(CIFAR-10)上で1つのGPUで4.4 GPU日間の計算時間でアーキテクチャを探索し、トップ1テスト誤差2.47%(パラメータ数363万)を達成。このアーキテクチャはCIFAR-100およびImageNetへ転移適用され、それぞれトップ1誤差16.37%、トップ5誤差7.4%を達成した。これらの結果は、進化的手法がアーキテクチャ探索問題の解決において大きな可能性を有していることを示している。