
時系列分析において、時系列モチーフと時系列の順序パターンは一般的な時間的パターンと動的特性を明らかにすることができます。トライアド・モチーフ・フィールド(Triadic Motif Field: TMF)は、トライアドの時系列モチーフに基づく単純で効果的な時系列画像符号化手法です。心電図(Electrocardiography: ECG)信号は、さまざまな心臓異常を診断するために広く使用される時系列データです。TMF画像には、正常なECG信号と心房細動(Atrial Fibrillation: AF)ECG信号を特徴づける情報が含まれています。ECG信号の準周期的特性を考慮すると、転移学習によって事前学習された畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network: CNN)モデルを使用してTMF画像から動的特性を抽出することができます。抽出された特性を使用することで、多層パーセプトロン(Multi-Layer Perceptron: MLP)、ロジスティック回帰、ランダムフォレストなどの単純な分類器を用いて正確な異常検出を行うことが可能です。2017年PhysioNetチャレンジデータベースのテストデータセットを使用した実験では、VGG16転移学習モデルとMLP分類器を組み合わせたTMF分類モデルがAF分類において最良の性能を示しました。このモデルは95.50%のROC-AUCと88.43%のF1スコアを達成しています。さらに、TMF分類モデルはテストデータセットにおけるAF患者の識別に高い精度を発揮します。t-分布確率的近傍埋め込み技術(t-distributed Stochastic Neighbor Embedding)を使用してTMF画像から抽出された特徴ベクトルは、明確な患者ごとのクラスタリングを示しています。何よりも重要なのは、TMF分類モデルが非常に優れた臨床解釈性を持っていることです。対称化された勾配加重クラス活性化マッピング(symmetrized Gradient-weighted Class Activation Mapping)によって明らかにされたパターンは、拍動レベルとリズムレベルで明確な臨床解釈を持つことが確認されています。