13日前
方向性グラフネットワーク
Dominique Beaini, Saro Passaro, Vincent Létourneau, William L. Hamilton, Gabriele Corso, Pietro Liò

要約
グラフニューラルネットワーク(GNN)における異方性カーネルの欠如は、表現力に大きな制約をもたらし、過剰な平滑化(over-smoothing)を含む広く知られた問題の原因となっている。この制限を克服するため、本研究ではGNNに向けた世界一貫性を持つ異方性カーネルの初めての提案を行う。これにより、グラフのトポロジーから導かれる方向性の流れに従って定義されたグラフ畳み込みが可能となる。まず、グラフ上にベクトル場を定義することで、ノード固有のメッセージをその場に射影し、方向微分および平滑化を適用する手法を開発する。次に、ラプラシアン固有ベクトルをそのベクトル場として用いる手法を提案する。我々は、この手法がn次元グリッド上の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を一般化しており、Weisfeiler-Lehman 1-WLテストに関して標準的なGNNよりも明確に高い識別能力を有することを証明する。提案手法は、さまざまな標準ベンチマークにおいて評価され、CIFAR10グラフデータセットでは相対誤差を8%低減し、分子データセットZINCでは8%~32%の相対誤差低減を達成した。また、MolPCBAデータセットでは精度が1.6%向上した。本研究の重要な成果として、グラフネットワークが教師なしで方向性を埋め込むことが可能になったことが挙げられる。これにより、物理的・生物学的問題における異方性特徴のより優れた表現が実現可能となる。