
知識グラフ補完は、エンティティ間の欠落した関係リンクを予測することを目的とする重要なタスクである。知識グラフ埋め込み手法は、エンティティおよび関係を埋め込みベクトルとして表現し、それらの相互作用をモデル化することで、各三項組の一致スコアを計算することによりこのタスクを実現する。従来の研究では、埋め込みを全体として扱い、これらの全体的な埋め込み間の相互作用をモデル化する手法が一般的であったが、これによりモデルの計算コストが過剰に増大するか、特別に設計された相互作用メカニズムを必要とする場合があった。本研究では、ブロック項形式(block term format)を用いたマルチパーティション埋め込み相互作用(Multi-partition Embedding Interaction; MEI)モデルを提案し、この問題を体系的に解決する。MEIは各埋め込みをマルチパーティションベクトルに分割することで、相互作用を効率的に制限する。各局所的相互作用はTuckerテンソル形式でモデル化され、全体的な相互作用はブロック項テンソル形式で表現される。この構造により、MEIは表現力と計算コストのトレードオフを制御可能であり、データから相互作用メカニズムを自動的に学習でき、リンク予測タスクにおいて最先端の性能を達成する。さらに、パラメータ効率性に関する理論的分析を行い、最適なパラメータトレードオフを実証的に検証された簡単な基準を導出している。また、MEIの枠組みを応用することで、従来のモデルに特化して設計された複数の相互作用メカニズムについて、新たな一般化された説明を提供している。本研究のソースコードは、https://github.com/tranhungnghiep/MEI-KGE にて公開されている。