
要約
アンカーベースのシアンセス追跡手法は、精度面で顕著な進展を遂げてきたが、追跡のロバスト性の遅れがさらなる性能向上を制限している。本研究では、その根本的な原因が、アンカーベース手法における回帰ネットワークが正のアンカーボックス(すなわち、IoU ≥ 0.6)のみで学習されていることに起因することを発見した。この学習メカニズムにより、対象オブジェクトとのオーバーラップが小さいアンカーボックスの微調整が困難となる。本論文では、この課題を解決するため、新たなオブジェクト認識型アンカーフリーなネットワークを提案する。第一に、従来の参照アンカーボックスの微調整ではなく、アンカーフリーなアプローチにより、対象オブジェクトの位置およびスケールを直接予測する。正解ボックス内の各ピクセルが適切に学習されているため、推論時においても対象オブジェクトの不正確な予測を適切に補正できる。第二に、予測されたバウンディングボックスからオブジェクト認識特徴を学習するための特徴アライメントモジュールを導入する。このオブジェクト認識特徴は、対象オブジェクトと背景の分類にさらに寄与する。さらに、このアンカーフリーモデルに基づく新たな追跡フレームワークを提案する。実験の結果、本手法はVOT-2018、VOT-2019、OTB-100、GOT-10k、LaSOTの5つのベンチマークにおいて、最先端の性能を達成した。ソースコードは以下のURLから入手可能である:https://github.com/researchmm/TracKit。