
要約
主成分分析(PCA)は、固定された成分次元を持つ線形モデルのクラスにおいて再構成誤差を最小化する。確率的PCA(Probabilistic PCA)は、PCAの潜在空間重みの確率分布を学習することで確率的構造を導入し、生成モデルを構築する。オートエンコーダ(AE)は、固定された潜在空間次元を持つ非線形モデルのクラスにおいて再構成誤差を最小化し、固定次元においてPCAを上回る性能を発揮する。本研究では、正規化フロー(NF)を用いてAEの潜在空間重みの確率分布を学習する確率的オートエンコーダ(PAE)を提案する。PAEは高速かつ容易に訓練可能であり、小さな再構成誤差、高いサンプル品質、および下流タスクにおける良好な性能を達成する。VAE(変分オートエンコーダ)と比較して、PAEはより高速に訓練され、より低い再構成誤差に到達し、特別な調整パラメータや訓練手順を必要とせずに良好なサンプル品質を生成することを示した。さらに、PAEがベイズ推論に基づく逆問題における補完(インペイント)およびノイズ除去の応用において、確率的画像再構成という下流タスクを効果的に実行する強力なモデルであることを実証した。最後に、NFによる潜在空間密度から得られる指標が、異常検出のための有望な指標であることが明らかになった。