
要約
既存のメトリック学習損失関数は、二つのクラスに分類できる。一つはペアベースの損失、もう一つはプロキシベースの損失である。前者はデータポイント間の細かい意味的関係を活用できるが、高い学習複雑性のため一般的に収束が遅くなる。一方、後者は高速かつ信頼性の高い収束を実現できるが、データ間の豊かな関係性を考慮できないという課題がある。本論文では、ペアベースおよびプロキシベースの手法の長所を活かし、それぞれの欠点を克服する新たなプロキシベース損失関数を提案する。プロキシの活用により、本手法は収束速度を大幅に向上させるとともに、ノイズのあるラベルや外れ値に対して高いロバスト性を示す。同時に、勾配を通じてデータの埋め込みベクトル同士が相互に作用する機構を備え、データ間の関係性を有効に活用できる。本手法は4つの公開ベンチマークで評価され、標準的なネットワークを本損失関数で学習した場合、最先端の性能を達成するとともに、最も迅速な収束を実現した。