
本研究は、特にターゲットドメインのクラスラベルがソースドメインのラベルの部分集合であるという、部分的ドメイン適応(partial domain adaptation)という現実的だが困難な設定に焦点を当てている。既存の手法は、負の転移(negative transfer)と不確実性の拡散(uncertainty propagation)という二つの主要な課題に常に直面している。本論文では、ドメイン対抗学習(domain adversarial learning)を基盤とし、バランス対抗整合(Balanced Adversarial Alignment; BAA)および不確実性適応抑制(Adaptive Uncertainty Suppression; AUS)という二つの新技術を導入した新たなドメイン適応手法BA$^3$USを提案する。まず、負の転移は、ターゲットサンプルがソースドメインにのみ存在するクラスに誤分類される原因となる。これを解決するため、BAAはドメイン間のラベル分布のバランスをシンプルかつ効果的に追求する。具体的には、ドメイン整合の過程において、ターゲットドメインが小さい場合に、ランダムに少数のソースサンプルを用いてターゲットドメインを拡張することで、異なるドメイン間のクラス構成を対称的に保つ。一方、あるソースサンプルが誤ったクラスに対して相対的に高い予測スコアを持つ場合、そのサンプルは不確実性を持つと定義される。この不確実性は、整合過程で周囲のラベルなしターゲットデータへ容易に伝播し、適応性能を著しく低下させる。そこで本研究では、不確実性の高いサンプルに注目し、適応的重み付き補完エントロピー(adaptive weighted complement entropy)を目的関数として採用することで、誤ったクラスの予測スコアが均一かつ低くなるように促進するAUSを提案する。複数のベンチマークにおける実験結果から、BA$^3$USが部分的ドメイン適応タスクにおいて最先端の手法を上回ることを確認した。実装コードは以下のURLで公開されている:\url{https://github.com/tim-learn/BA3US}。