
要約
リアルノイズのノイズ除去は、リアルノイズの統計特性が正規分布に従わないだけでなく、空間的・時間的に変化するため、非常に困難な課題である。多様かつ複雑なリアルノイズに対応するため、本研究では汎化性の高いノイズ除去アーキテクチャとトランスファー学習手法を提案する。具体的には、特徴マップの正則化を実現し、ネットワークの訓練データへの過学習を防ぐために、アダプティブインスタンス正規化(Adaptive Instance Normalization)を用いたノイズ除去器を構築している。さらに、合成ノイズデータから学習した知識をリアルノイズ用のノイズ除去器へ転移するトランスファー学習スキームを導入している。この提案手法により、合成ノイズ用のノイズ除去器は多様な合成ノイズデータから一般化された特徴を学習可能となり、リアルノイズ用のノイズ除去器はリアルデータからリアルノイズの特徴を効果的に学習できる。実験の結果、提案手法は優れた汎化能力を有することが確認され、合成ノイズデータで訓練した本ネットワークは、公開論文における手法の中でもDarmstadt Noise Dataset(DND)において最も高い性能を達成した。また、極めて少量のラベル付きデータでの学習にもかかわらず、提案するトランスファー学習スキームがリアルノイズ画像に対して堅牢に機能することが明らかになった。