
要約
薬剤の組み合わせ使用はしばしば多薬物療法に伴う副作用(Polypharmacy Side Effects: POSE)を引き起こす。最近の手法では、POSE予測を薬剤とタンパク質のグラフ上でリンク予測問題として定式化し、グラフ畳み込みネットワーク(Graph Convolutional Networks: GCNs)を用いて解決している。しかし、POSEに内在する複雑な関係性のため、この手法は高い計算コストとメモリ消費を伴う。本研究では、タンパク質-タンパク質グラフから薬剤-薬剤グラフへ、タンパク質-薬剤グラフを介して段階的に情報伝搬を行うことで、三つの部分グラフ上で動作する柔軟な三重グラフ情報伝搬(Tri-graph Information Propagation: TIP)モデルを提案する。実験の結果、TIPは精度を7%以上向上させるとともに、計算時間効率を83倍、メモリ効率を3倍向上させた。