
要約
従来のグラフニューラルネットワークは、モデル構造が深くなると「停止状態問題(suspended animation problem)」に直面する可能性がある。一方、テキストや画像属性を持つノードや、長距離ノード相関を持つグラフといった特定のグラフ学習シナリオでは、有効なグラフ表現学習の実現のためには深層グラフニューラルネットワークが不可欠となる。本論文では、グラフ表現学習およびノード分類を目的として、新しいグラフニューラルネットワーク「DIFNET(Graph Diffusive Neural Network)」を提案する。DIFNETは、ノードの隠れ状態モデリングにニューラルゲートとグラフ残差学習を併用するとともに、ノード近傍情報の拡散を実現するための注目メカニズム(attention mechanism)を導入している。本研究では、DIFNETを複数の最先端グラフニューラルネットワークモデルと比較するための広範な実験を実施する。実験結果から、DIFNETの学習性能の優位性および実効性が明確に示され、特に「停止状態問題」の緩和において顕著な効果が確認された。