
要約
最近、グラフ畳み込みネットワーク(GCN)はグラフマッチングタスクにおいて大きな可能性を示している。GCNは、グラフノードの特徴埋め込み、ノード単位の類似性学習、マッチング最適化を統合的に一つのエンドツーエンドモデルで実現できる点が特徴である。グラフマッチングにおける重要な要素の一つとして、二つのマッチンググラフの構築があるが、従来のグラフ畳み込みマッチングネットワークに供給されるマッチンググラフは一般的に固定されており、マッチングタスクとは独立しているため、マッチングに最適であるとは限らない。また、既存のGCNマッチング手法では、汎用的な平滑化ベースのグラフ畳み込み層を複数用いてノード埋め込みを生成しているが、この際の広範な平滑化畳み込み演算により、ノードの識別的な情報が希薄化される可能性がある。こうした課題を克服するために、本研究ではグラフマッチング問題に対応する新たな「グラフ学習・マッチングネットワーク(GLMNet)」を提案する。GLMNetの主な特徴は以下の3点である。(1) グラフマッチングにグラフ学習を統合することで、マッチングタスクに最も適した一対の最適なグラフを適応的に学習する。(2) より識別性の高いノード埋め込みを生成するため、ラプラシアン鋭化畳み込みモジュールを導入する。(3) マッチング最適化において、望ましい一対一マッチング制約を組み込むことができる新たな制約正則化損失関数を設計し、GLMNetの学習に活用する。2つのベンチマークデータセットにおける実験結果から、GLMNetの有効性およびその主要モジュールの優位性が確認された。