
要約
既存の知識グラフ(KG)において不完全性は一般的な問題であり、エンティティ間のリンクを予測することを目的とするKGの完成(completion)は困難な課題である。多くの既存のKG完成手法は、ノード間の直接的な関係のみを考慮しており、リンク予測に有用な情報を含む関係パス(relation path)を無視している。近年、一部の手法では関係パスを考慮するようになったが、推論において重要なパス内の関係の順序に十分な注意を払っていない。さらに、これらのパスベースのモデルは、パス特徴がリンク予測に非線形的に寄与する点を無視しがちである。こうした問題を解決するため、本研究では新たなKG完成手法としてOPTransEを提案する。従来の手法が関係の頭部エンティティと尾部エンティティを同一の潜在空間に埋め込むのに対し、OPTransEは各関係の頭部エンティティと尾部エンティティを異なる空間に射影することで、パス内の関係の順序を保証する。同時に、異なるパスの非線形的かつ複雑な特徴を抽出するためのプーリング戦略を導入し、リンク予測の性能をさらに向上させる。2つのベンチマークデータセットにおける実験結果から、提案手法OPTransEが最先端の手法を上回る性能を発揮することが示された。