
要約
音声対話システムにおいて、対話状態追跡(DST: Dialogue State Tracker)コンポーネントは、これまでのやり取りを用いて、現在のユーザターンで追跡されている各スロットに関連する値の分布を更新することで、会話の状態を追跡します。従来の多くの研究では、会話の自然な順序をモデル化するために、時間の近似として距離に基づくオフセットを使用していました。本研究では、ターン間の実際の時刻差(ウォールクロック・テンポラル・ディファレンス)を利用することが、対話シナリオのより細かい制御に重要であると仮説を立てています。私たちは新しいアプローチを開発し、ウォールクロック時刻差に基づく{\it 時間マスク}を関連するスロット埋め込みに適用しました。そして、提案手法が距離オフセットを利用する既存手法よりも優れていることを、内部ベンチマークデータセットおよびDSTC2上で実証的に示しています。