
要約
感情原因抽出(ECE)タスクは、文書内の特定の感情表現の背後にある潜在的な原因を発見することを目指しています。この課題を解決するために、ルールベースの手法、従来の機械学習手法、深層ニューラルネットワークなどの技術が提案されてきました。しかし、これまでの多くの研究では、ECEを独立した節分類問題の集合として扱い、文書内の複数の節間の関係を見落としていました。本研究では、複数の節を同時に符号化および分類するための共同感情原因抽出フレームワークであるRNN-Transformer階層ネットワーク(RTHN)を提案します。RTHNは、各節内の複数の単語を符号化するRNNに基づく下位単語レベルエンコーダと、文書内の複数の節間の相関関係を学習するTransformerに基づく上位節レベルエンコーダで構成されています。さらに、Transformerに節間の因果関係を捉え、RTHNをより効率的にするための相対位置情報や全体予測情報を符号化する方法も提案しています。最終的に、比較された12システムの中で最良の性能を達成し、最先端技術(state-of-the-art)におけるF1スコアを72.69%から76.77%に向上させました。