海洋の歪みを補正、珊瑚礁の生態を鮮明に再現するAIモデル「SeaSplat」開発 MITとWHOIの研究チームが、水の影響による色褪せや霞みを除去し、高精度な3D画像を生成するAIモデル「SeaSplat」を開発。珊瑚礁などの海洋環境の観察と保護に貢献する有望なツールとして期待されています。
AIが珊瑚礁の観察を革新 マサチューセッツ州にあるウッズホール海洋研究所(WHOI)とマササ諸技大学(MIT)の研究チームは、新しいAIモデル「SeaSplat」を発表しました。このモデルは、水の中では見えづらい画像を鮮明で高精度な3Dシーンに変換し、エコロジストが珊瑚礁などの海洋環境をより正確に観察し理解できるようにサポートします。 SeaSplatは、水中写真でよくある2つの歪み(霞のような haze と色褪せ)を補正することを目的として設計されました。モデルは水中の状況から歪みを取り除き、物体や生物本来の色を反映した明るく鮮明な画像に変換します。さらに、360度の再構成映像を生成し、実際の環境に近い色と形状を再現します。 研究では、ダイバーとロボットが収集した大量の水中画像を利用して、3D再構成モデルを自動的に水による歪みを補正するように調整しました。このプロセスでは、シーンの3D構造だけでなく、各物体の幾何学的形状と相対位置も考慮に入れて、現実世界に近い色調を創り出します。 海中イメージの捕捉に際しては、NVIDIA Jetson Orin端末コンピュータを搭載した潜水ロボットを使用しました。初期トレーニング段階では、NVIDIA L40 GPUにより高速なプロセッシングが行われ、その後の画像推論は一般的な水中カメラで撮影された画像でも使用可能となりました。 エコロジストは生の水中画像をアップロードし、SeaSplatが自然な色合いと細かい特徴を再現した修正版を作成します。例えば、通常は褪色している赤や黄色の色を正確に復元し、珊瑚や海洋生物の細部まで鮮明に再現できます。 WHOIの准研究員であるYogesh Girdharは、「われわれの目的はエコロジストに海底の高解像度の画像を提供し、珊瑚礁の生態系をより深く理解させることです」と述べています。「非常に高品質な3Dモデルを使うことで、カメラを仮想的にどこにでも動かし、任意の視点から実物に限りなく近い再構成画像を描けるため、珊瑚礁の多様性計測や白化や病気などの特定イベントの検出に役立ちます。」 これまでに、SeaSplatはU.S. ビル京群島、レッドシー、そしてクーラソーで撮影された水中礁画像の分析と改良に使用されており、今後は様々な海底調査や研究のためにより汎用的で拡張性の高いモデルへと発展させていく予定です。 MIT機械工学科教授のJohn Leonardも共同著者として参加し、同チームは5月中旬に行われたロボティクス会議で成果を発表しました。これは、6月1日に始まる国連海洋デー直前のタイミングで行われました。 関連業界の反応 「このモデルは、珊瑚礁の保全活動にとって大きな助けになる」と、国際コーラルリーフイニシアティブ(ICRI)の代表は述べています。WHOIは、世界の海洋環境研究における主要研究機関であり、海洋生態系の保護と持続可能性についての重要な調査を行っています。
