マイクロソフトAI最高責任者、次世代AI開発に「数百億ドル」の巨費が必要と指摘
マイクロソフトAI最高責任者であるムスタファ・スレーマン氏は、次世代の先端AI開発を維持するには今後5~10年で「数百億ドル」の巨額投資が必要だと語った。同氏は「ムーンショットズ・ウィズ・ピーター・ディアマンディス」のポッドキャストで、AI分野での競争を続けるには、人材の確保コストを含め、膨大な資金が必要だと強調した。 スレーマン氏は、マイクロソフトを「現代の建設会社」と例え、何十万もの従業員がギガワット単位のCPUやAIアクセラレーターを構築している状況を描いた。こうした規模のインフラ投資は、大企業に固有の構造的優位性をもたらすと指摘。同社の時価総額は3.54兆ドルに達し、2024年9月期の四半期売上高は777億ドルと、アナリスト予想を上回った。 彼の目標は、マイクロソフトが先端モデルの開発において「自立性」を確立し、世界最高水準の「スーパーアイテルジェンス開発チーム」を構築することだ。同氏は「世界で最も優れた、かつ最も安全なスーパーアイテルジェンスモデルの構築を目指している」と語った。また、前月には「人間中心のスーパーアイテルジェンス」の実現を目指すと表明。AIの価値観が人間の利益と整合するように設計することを重視している。 一方で、スタートアップが大手テック企業と同等の競争力を維持するのは極めて困難だと分析。「価値評価の高騰は、その不確実性に起因している。もし知能爆発が突然起これば、多くの企業が同時に到達する可能性がある」と述べた。 同様に、メタのマーク・ザッカーバーグCEOも「数百億ドルの無駄遣いをしても、スーパーアイテルジェンスのリードを失うよりましだ」と語り、AIの進化が未来の技術革新と価値創出の鍵になると強調。グーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタといった大手企業は、先端モデルの訓練と運用を支えるため、AIデータセンターへの投資を急拡大している。この資金競争は、今後数年間のAI開発の格差を決定づける重要な要素となる。
